海藻の薬用効果について
ターニャ・ステラー
海藻の薬効成分は主にアルギン、寒天、フコイダン、ラミニンの4つになり
ます。海藻は多くのミネラルやビタミンも含みます。
海藻の中でもとりわけケルプはミネラル分が豊富で海から直接ミネラルを吸収、
中でミネラルを蓄積します。
海藻のいただき方ですが、水に浸したあとはよく噛んで食べるか、またはお料理として調理するか、あるいはお茶としていただく方法もあります。
海藻のミネラルは体内にある有害物質の除去を促進します。同時にビタミンなどの栄養素の吸収も助けます。
海藻にはアルギン、寒天、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸など様々な粘液やガムが含まれます。
海藻の種類は主に赤色系と茶色系に分かれ、色々な食品や織物または化粧品やスキンケアの商品などに使われています。
とりわけアルギンは製薬の材料として使われており、のど飴やクリーム、ローションや美容マスクに使われています。アルギン酸ナトリウムとアルギンに由来するアルギン酸は、2000を超える食品および工業用途があり、万能です。
南カリフォルニアでは大型船を使ってジャイアントケルプ(Macrocystis sp)を収穫します。
アルギンは体から放射性ストロンチウムやセシウムの除去を即します。アルギンは鉛、カドミウム、バリウムおよび亜鉛などの重金属も除去する手助けをしてくれます。
藻類は甲状腺による放射性ヨウ素の吸収を減らし、ヨウ素含有量が高いことから甲状腺機能低下症や甲状腺腫による治療を助けます。
昆布やわかめのように茶色の海藻に含まれるフコイダンは人間の体の免疫力を高める役割を果たします。
ラミナリアから抽出することができるラミニンは、低血圧効果をもたらすことで知られます。フランスでは、海藻はボディラップ(Thalossatherapy)としても
使います。海藻は皮膚に栄養分を与え、神経を落ち着かせ、関節炎を緩和することでも知られています。ぬるぬるした粘液質の海藻はのどの痛みや胸やけ、虫刺され、火傷にその他の皮膚や粘膜の症状を和らげてくれます。
海藻収穫のガイドライン
ターニャ・ステラー
1.先住民が残してくれた再生可能な文化に精神、また食料などの資源を破壊しない。
2.必要であれば海藻収穫のライセンスを取得する。
(スポーツフィッシングストアで入手可能。)最新情報はカリフォルニア州Department of Fish and Game Marine Resources Divisionでご確認ください。
3.あなたの州または地域の規制についてのルールの情報を入手すること。
海藻には様々な種類があります。「どこの場所」を「どのような方法」で「どれぐらいの量」を収穫することが可能であるかを、収穫前に事前に確認をして置くこと。一日の制限量、使用可能な器具、収穫方法は場所によって異なります。カリフォルニアで免許を持っている場合は一日10ポンド(濡れた状態)まで収穫可能です。
4.「成長領域」以外の部分の葉状部を切ること。残った部分は光合成が可能な状態にしておくこと。
ワシントン州の法律では収穫により海藻の成長が損なわれないように、例えばブルホイップケルプ(Neceocystis)の場合は、バルブ部分から24インチ以上離した部分の収穫を薦めています。ショートステムケルプ(Alaria)の場合は裸になっている部分の1フィート上の部分からの収穫を薦められています。シーレタス(Ulva)、ノリ(Porphyra)、ブラダーラック(Fucus)のように高さが12インチ以下の海藻の場合は付着器部分を収穫しないよう、ご注意ください。
5. ナイフまたはハサミで葉状部を切り、破らないように注意。
熊手やフォークは使用禁止。生息地で海藻が固定されている場所などを乱すからです。
6.収穫は出来るだけ広い範囲で行う。
できるだけ広いエリアで収穫をおこなってください。一部のエリアの海藻を集中的に伐採してしまうとその地域に生息する生物などの生活に影響を与えます。例えば魚やカワウソや昆布の場合は、昆布がなくなってしまうと魚やカワウソは住処や食料源を失ってしまいます。
7.付着器は海底に取り付けたままにする。
ほとんどの地域では、海藻の付着器部分を切ることは違法です。付着器には海中の生き物が住み着いている場合が多いからです。
8.無駄は最小限に抑える。
必要な海藻をテキパキと必要なだけの量を収集するのがポイントです。ガイドブックを引用しながら収穫したい海藻をご確認してください。海藻は温めたり、また淡水にさらすといたみやすくなります。日陰で保管して、アイスパックなどをクーラーに入れて保管してください。海藻は種類別に別々の袋に入れておくとあとが楽です。ご自宅にご帰宅してからは数時間あるいは何日間か以内には調理、または漬けるかあるいは凍らすか乾燥するかの処理が必要となります。
9.どの公共および民間の干潟や海岸は立ち入り禁止かを知って置くこと
自然保護区に国立公園および一部の州立公園などから海藻を収穫することは禁止されています。
10.海岸線を歩くときは足元には気を使うこと。海藻を収穫するために潮が引いた状態の海岸を歩いて進んで行きますが、足元には沢山の生き物がいます。カニ、カタツムリ、ヒトデ、イソギンチャクを踏んで潰してしまった、ということがないように足元にはご注意ください。
11.海藻に付着している小さな魚や動物には気をつけて。ニシンが産卵した昆布は収穫をしないこと。
収穫した海藻はその場で海水を使いながら付着物を取り除いてください。カタツムリ、カニ、またその他の小さな甲殻類の生物が葉状部についていることはよくあります。ニシンは産卵期に入ると昆布の葉状部に大量の卵を産み付けます。ニシンの卵は特別なライセンスなどを持っていない限りは収穫すること自体が違法行為に当たります。ご注意ください。
12. 汚染されていない場所で収穫をすることで海藻を安全に摂取する。海藻は有毒な化学物質、ウイルスまたはバクテリアに汚染される場合があります。下水処理場周辺、有害廃棄物処理場、伐採施設、製造場所、工業用地、および糞便汚染のために閉鎖されている場所などは避けること。出来るだけ開かれた場所で収穫をすること。海藻は放射性アイソトープ、アルセニックのほか水銀、鉛などの重金属を吸収します。
- From Pacific Feast: A Cooks Guide to West Coast Foraging and Cuisine
ジェニファーハーン著より
海藻ってどんな種類があるの?
ターニャ・ステラー
褐藻(褐藻類)
一般的に昆布と呼ばれる海藻が褐藻(かっそう)です。茶色からオリーブグリーンの色のものが多く、アルギンのほか多くのミネラルを含みます。藻類のファミリーとしては一番大きなものになります。食用に収穫されている海藻の種類も含みます。
•ブラダーラック(Fucus spp)
•昆布(Laminaria spp)
•わかめ(Alaria spp)
•シーパーム(Postelia Palmaeformis)
•サルガスム
•フェザーボア(Egregia spp)
•シストセイラ
紅藻(ロダフィータ)
紅藻(こうそう)は名前からして赤色を想像しますが、実際には赤だけではなく茶色がかったものから緑のものもあり、色には幅があります。紅藻は他の海藻の種類とよく間違われることもあります。紅藻はカリフォルニアの海岸線で最も見られる種類の海藻です。
•ダルス(Palmaria Palmatus)
•アイリッシュモス(Chrondrus crispus)
•海苔(Porphyra spp)
•イリダア菌種(Mazzaella spp)
•グレープストーンまたはターキッシュタオル(Gigartina spp)
•コードランカンタス菌種
•マストカルパス菌種
•デュモンティア、プリオンティス菌種
以上、4000種ほどある紅藻のほんの
一部の名前です。
紅藻の多くはカラギーナンおよび寒天を含み、ゲル状の形をとる。食品、医薬品、化粧品における増粘剤や乳化剤、またはペトリ皿の媒体にも利用され、幅広い用途があります。
緑藻(クロロフィタ)
緑藻(りょくそう)は名前の通りでほとんどの種類は緑色です。コーディムだけはオリーブグリーンです。シーレタス(Ulva sp)はこのフォミリーに属します。保存力は紅や茶色の藻類より劣るため、新鮮な状態で食べることをお勧めします。多くの緑藻は海水ではなく、淡水からのものとなります。